アシモの現在は?開発中止の理由と後継技術【2026年最新版】

ヒューマノイド

この記事のポイント

アシモは2018年に開発中止、2022年に実演を引退し、現在はホンダコレクションホールに保管されている。技術はアバターロボットや多指ハンド、車載OSのアシモOSに継承され、2026年も開発が続いている。

アシモの現在は?開発中止の理由と後継技術【2026年最新版】

「アシモの開発が終了したと聞いたけど、現在はどうなっているのか気になる。日本のロボット技術はこのまま海外に遅れをとってしまうのではないか」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • アシモが開発中止・引退した経緯
  • アシモの技術を継ぐアバターロボットとアシモOS
  • アシモが歩んできた開発の歴史

アシモは2022年に実演活動を終えて引退しましたが、その技術は現在も別のプロジェクトの中で生き続けています。

本記事を読めば、アシモの現在地とホンダのロボティクス戦略の全体像がつかめます。日本の技術力への不安も解消できるはずなので、ここから順番に見ていきましょう。

アシモの現在の状況とは

アシモは現在、一般向けの実演活動をすべて終了しています。日本の人型ロボット開発の歴史において重要な役割を果たし、かつて活躍していた場所での役目を終え、いまはホンダの施設で静かに保管される立場になりました。

日本科学未来館での実演はすでに終了

アシモは2002年1月から科学コミュニケーターとして日本科学未来館に勤務し、2022年3月31日をもってその活動を終えました。20年間の在任中に実演を行った回数は15,787回にのぼり、来館者はのべ200万人を超えます。走行やケンケン、手話といった多彩な動きを披露し続けてきた実演は、この卒業をもってすべて終了しました。

保管場所はホンダコレクションホール

現在のアシモは、栃木県のモビリティリゾートもてぎにあるホンダコレクションホールに保管されています。同施設は2024年3月にリニューアルオープンし、3階のロボティクス紹介エリアで、二足歩行研究の原点となったE0から最終モデルのアシモまでを見ることができます。実演こそ行っていないものの、来館者は展示という形でアシモの姿を確認できます。

かつて担っていた歴史的な役割

アシモが担っていたのは、単なるショーの主役という役割にとどまりません。同時期にエンタメ用途で注目されたソニーの人型ロボットなどと同様に、ロボットと人間が同じ生活空間で共存する未来像を、実演を通じてわかりやすく伝える科学コミュニケーターとしての役割を果たしてきました。この立場から退いた背景には、明確な理由があります。

アシモが開発中止・引退した理由

アシモが姿を消した背景には、一部で懸念される軍用ロボット(人型)のような兵器開発への応用ではなく、民生分野での実用的な戦略転換がありました。開発中止の発表から実演終了までの流れを整理します。

2018年に開発と生産の中止を発表

2018年6月、ホンダはアシモの新規開発と生産を中止する方針を明らかにしました。あわせて、アシモの開発で培ったバランス制御や運動制御の技術は、転倒を防止する装置や介護を支援する装着型ロボットなど、より実用的な製品へ応用していく方針が示されました。二足歩行という象徴的なテーマから、生活に直結する技術への転換が意図されていたといえます。

2022年3月に実演活動を終了

開発中止の発表後もアシモはしばらく実演を続けていましたが、2022年3月31日に東京・南青山のホンダ本社で最後のステージを行い、現役を引退しました。当時の実演では「ホンダのロボティクス研究はこれからも続きます。応援よろしくお願いします」という言葉で締めくくられ、約100人の見学者に見送られています。

実用化を重視した戦略転換

ホンダがアシモという象徴的な存在を引退させた理由は、研究成果を実際の社会課題の解決に生かす段階へ移るためでした。現行モデルの登場から10年以上が経過し、一定の役割を果たしたと判断されたことも、引退の決断を後押ししています。培われた技術は、複数の新しいプロジェクトの中で形を変えて生き続けています。

アシモの技術を継ぐ後継プロジェクト

アシモが引退したあとも、そこで培われた技術は消えてなくなったわけではありません。アバターロボット、車載OS、そして最新のロボットハンドという3つの形で、現在も開発が続いています。

アバターロボットへの技術継承

ホンダは2021年9月、遠隔地からあたかもその場にいるかのようにものを扱えるアバターロボットの研究を進めると発表しました。アシモの二足歩行から得たバランス制御や運動制御のノウハウは、人が直感的に操作できる多指ハンドの開発に生かされています。2026年には、アシモから続く研究チームが手掛けた新型多指ハンドがヒューマノイド関連のイベントで公開され、指先の力はアシモの約12倍にあたる12.3キログラム重に達し、駆動部は約800万回の耐久性を確保しました。工場での部品組み立てなど実用的な作業を想定した技術実証もすでに始まっています。

車載OS「アシモOS」としての名称復活

2025年1月のCESでは、ホンダが独自のビークルOS「アシモOS」を発表しました。人に寄り添うという考え方で開発されてきたアシモとの共通点から名付けられ、自動運転や運転支援、車内エンターテインメントを統合的に制御するソフトウェア基盤として位置づけられています。かつて莫大な開発費がかかるといわれた人型ロボットの価格イメージとは大きく異なり、クルマの頭脳となるソフトウェアプラットフォームとして名称が復活した点が大きな話題になりました。

Honda 0シリーズでの実用化計画

アシモOSは、次世代電気自動車「Honda 0シリーズ」に搭載される計画で発表されていました。ところが2026年3月、ホンダは北米向けに開発していたHonda 0 SUVとHonda 0 サルーン、アキュラRSXの3車種について、電気自動車市場の需要低迷などを理由に開発と発売の中止を発表しています。一方でインドや日本向けの「Honda 0 α」は予定どおり開発が続けられており、アシモOSという技術そのものが失われたわけではありません。ここに至るまでには、30年以上におよぶ地道な開発の積み重ねがありました。

アシモが歩んできた開発の歴史

アシモという一体のロボットに至るまでには、30年以上にわたる二足歩行研究の積み重ねがありました。ここではその歩みを4つの段階に分けて紹介します。

二足歩行研究の原点となったEシリーズ

ホンダの二足歩行研究は1986年に始まりました。第1号機のE0は一歩に約5秒かかる程度の歩行でしたが、1989年発表のE2では動歩行の技術によって時速1.2キロメートルでの移動が可能になっています。安定性の高い四足歩行ロボットではなく、あえて人間のように歩く二足歩行ロボットという発想そのものが、この時期の試行錯誤から生まれました。

世界初の自律二足歩行を実現したP2

1996年には、外部からの操作なしに自律して二足歩行できる世界初の人間型ロボットP2が発表されました。P2は人型ロボット研究の歴史的な転換点として、2026年4月に国際的な学会IEEEのマイルストーンに認定されています。1997年には全高1,600ミリメートル、重量130キログラムのP3が完成し、完全自立型の人間型ロボットとしての基礎が固まりました。

2000年に誕生したASIMO

2000年、これまでの研究成果を集めた新型ロボットが「ASIMO」として発表されました。身長130センチメートル、体重54キログラムというサイズは、人間の生活空間に溶け込みやすいように設計されたものです。後に実用化される四足歩行のSpotロボットとは異なり、完全な二足歩行でのなめらかな歩行を実現する技術が搭載され、以降のロボティクス分野を象徴する存在になりました。

20年におよぶ実演活動の実績

2000年の誕生から2022年の引退まで、アシモは実演を通じて世界中に人型ロボットの可能性を伝え続けてきました。後発のAtlasなどのBoston Dynamics製ロボットがダイナミックなアクロバットを見せる一方で、アシモは走行やケンケンといった俊敏な動き、手話でのコミュニケーションなど、ロボットと人間が優しく共存する未来像を具体的に示す役割を果たしてきたといえます。

まとめ:アシモは現在引退し技術はアバターロボットとOSに継承されている

ここまで、アシモの現在の状況、開発中止・引退に至った理由、技術を継ぐアバターロボットやアシモOSといった後継プロジェクト、そして誕生までの開発の歴史を紹介してきました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • アシモは2022年に実演を終え、現在はホンダコレクションホールに保管されている
  • 開発中止は打ち切りではなく、実用化を重視した戦略転換だった
  • アバターロボットや多指ハンド、車載OSにアシモの技術が受け継がれている

アシモの現在地を知ることで、開発終了というニュースの断片だけでは見えなかった技術の行き先を、具体的にイメージできるようになったはずです。

ホンダのロボティクス戦略やアシモの技術継承についてさらに詳しく知りたい方は、最新の動向を継続的に確認しながら、自社での活用可能性も検討してみましょう。

アシモの現在に関するよくある質問

参考文献

  1. ヒューマノイドロボット ASIMO(2002〜2022)(日本科学未来館)
  2. ASIMO OSを核としたHondaが目指すSDV(Honda公式サイト)
  3. Hondaのヒューマノイドロボット P2 自律二足歩行の技術ベンチマークを確立した制御技術(Honda公式サイト)

執筆者

Robot With 編集部
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