Jetson Orin Nanoとは?性能や価格と選び方を解説【2026年】
この記事のポイント
Jetson Orin Nanoは機器に組み込んでAIを動かすエッジAI向けの小型コンピューターです。Super開発者キットは最大67TOPSの性能を249ドルで実現し、ローカルLLMやロボット開発に活用できます。
「jetsonorinnanoという名前はよく聞くけれど、何ができるのか、上位モデルやRaspberry Piと何が違うのかがわからないし、自社のエッジAIやロボット開発に本当に使えるのかも見極めたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
本記事の内容
- Jetson Orin Nanoとは何かと性能やスペック
- できることと上位モデルの選び方
- Raspberry Piとの違いや始め方
jetsonorinnanoは、機器やロボットに組み込んでAIを動かす、エッジAI向けの小型コンピューターです。
本記事を読めば、Jetson Orin Nanoの性能やできること、他モデルとの違いから始め方まで具体的に理解でき、自社の開発に合うかどうかを判断する材料が得られます。まずは基本から順番に見ていきましょう。
Jetson Orin Nanoとは何かをわかりやすく解説
jetsonorinnanoは、機器やロボットに組み込んでAIを動かす、エッジAI向けの小型コンピューターです。NVIDIAが開発したこのプラットフォームは、高性能なGPUを搭載し、ロボット制御や画像認識、生成AIの推論を手のひらサイズの基板で動かせる点に特徴があります。
エッジAIを動かす小型の組み込みコンピューター
Jetson Orin Nanoは、NVIDIA Jetsonシリーズの中で、データが生まれる現場そのものでAIを動かすエッジAIの基盤です。クラウドにデータを送らず、カメラやセンサーのすぐ隣で推論を実行できる、初代Jetson Nanoの後継となる組み込みコンピューターとして設計されています。
エッジAIとは、クラウドではなく端末側でAIを処理する仕組みを指します。工場のラインや走行中のロボット、屋外のドローンなど、通信が不安定になりやすい場所でも安定してAIを動かせる点が支持される理由です。
GPUとAmpereアーキテクチャを中核とした構成
Jetson Orin Nanoの中身は、演算を担うGPUとCPU、メモリを1枚のモジュールにまとめた構成です。GPUにはNVIDIA Ampereアーキテクチャを採用し、1024個のCUDAコアと32個のTensorコアを備えています。
CPUには6コアのArm Cortex-A78AEを搭載し、複数のAI処理を並行して動かせます。画像処理や並列計算を得意とするGPUを中核に据えているため、深層学習の推論を低い消費電力で高速にこなせる点が強みです。
前世代Jetson Nanoからの進化
Jetson Orin Nanoは、初代Jetson Nanoの後継として大きく性能を伸ばしたモデルです。GPUがMaxwell世代からAmpere世代へ刷新され、AI性能は初代の最大80倍に達するとされています。
CPU性能もおよそ7倍に向上し、トランスフォーマーや生成AIなど新しいモデルを扱えるようになりました。初代では難しかったリアルタイムの物体検出やLLMの実行にも対応できます。
ソフトウェア基盤JetPackとの関係
Jetson Orin Nanoの実力を引き出すのが、公式ソフトウェア基盤のNVIDIA JetPackです。JetPackはUbuntu Linuxをベースに、CUDAやTensorRT、cuDNNといったAI開発に必要なライブラリを一式そろえています。
ハードとソフトを一体で用意することで、開発者が環境構築に費やす手間を抑えられます。PyTorchやTensorFlowなど主要な機械学習フレームワークとも連携でき、研究から製品化までを一貫して進めやすくなります。
Jetson Orin Nano Superの性能とスペック
jetsonorinnanoは、2024年末に登場したSuper開発者キットによって性能が大きく引き上げられました。ソフトウェアの更新だけで同じハードウェアのまま性能が伸びた点が、このモデルの大きな話題です。主なスペックを次の表にまとめます。
| 項目 | Jetson Orin Nano Super(8GB) |
|---|---|
| AI性能 | 最大67 TOPS |
| GPU | 1024コア Ampere、32 Tensorコア |
| CPU | 6コア Arm Cortex-A78AE |
| メモリ | 8GB LPDDR5、帯域102GB/s |
| 消費電力 | 7Wから25W |
| 価格 | 249ドル |
最大67TOPSのAI性能
Jetson Orin Nano Superは、最大67TOPSのAI性能を発揮し、中位モデルのJetson Xavier NXを上回る性能を実現しています。従来の40TOPSからおよそ1.7倍に高まり、生成AIの処理性能が約70パーセント向上しました。
この性能向上は、新しいハードウェアではなくソフトウェアの最適化によって実現されています。すでに旧来の開発者キットを持つ利用者も、ソフトウェア更新だけで同じ性能を得られる仕組みです。
メモリと帯域幅の仕様
Jetson Orin Nano Superは、8GBのLPDDR5メモリを搭載しています。メモリ帯域は従来の68GB/sから102GB/sへと約1.5倍に広がりました。
帯域が広がったことで、大きなAIモデルを扱う際のデータ供給がスムーズになります。小型モデルから8Bパラメータ規模までのLLMやVLM、ビジョントランスフォーマーを扱える点が実用面での強みです。
消費電力と小型フォームファクタ
Jetson Orin Nanoの消費電力は、7Wから25Wの範囲で調整できます。用途に応じて電力モードを切り替えられるため、バッテリー駆動の機器にも組み込みやすい設計です。
モジュールのサイズは69.6mm×45mmと手のひらに収まる大きさです。小型ロボットやドローン、スマートカメラなど、大きさや電力に制約のある機器へ無理なく搭載できます。
開発者キットの価格
Jetson Orin Nano Super開発者キットの価格は249ドルです。従来モデルの499ドルからおよそ半額に引き下げられ、個人開発者や学生でも導入しやすくなりました。
手ごろな価格で本格的なエッジAI開発を始められる点が、多くの開発者に選ばれる理由です。NVIDIAのAIソフトウェアやライブラリをそのまま使えるため、価格以上の価値を得られます。
Jetson Orin Nanoでできること
jetsonorinnanoは、手のひらサイズながら幅広いAI処理をこなせます。生成AIから画像認識、ロボット制御まで、これまで大型の機材が必要だった処理を1台で動かせる点が魅力です。ここでは代表的な用途を紹介します。
ローカルでのLLMや生成AIの実行
Jetson Orin Nanoは、クラウドに頼らず手元でLLMを動かせます。8GBメモリのモデルでは、小型モデルから8Bパラメータ規模までのLLMやVLMを実行でき、Llama 3.1 8Bなどの利用が可能です。
OllamaやllamacppやvLLM、TensorRT-LLMといった主要な推論ツールに対応しています。プロンプトや映像を外部に送らずに処理できるため、プライバシーを守りながら応答速度を高められる点が強みです。
画像認識とビジョンAIの処理
Ampere世代のGPUにより、Jetson Orin Nanoはビジョントランスフォーマーやビジョン言語モデルをそのまま動かせます。初代Nanoでは動かせなかった高度な画像認識にも対応できるようになりました。
カメラ映像から物体を検出したり、映っているものを言葉で説明したりする処理を機器の内部で完結できます。言語と画像を同時に扱うマルチモーダルなAIエージェントの土台としても使えます。
ロボットやドローンへの組み込み
Jetson Orin Nanoは、AIロボットやドローンの頭脳として広く採用されています。カメラやセンサーの情報をその場で処理し、周囲を認識しながら動作を判断する役割を担えるためです。
Isaac ROSを使えば、GPSの届かない環境でも視覚情報から自己位置を推定する自律飛行を実現できます。低い遅延で推論を動かせる特性が、瞬時の判断を求められる自律機械に活きています。
学習や試作の用途
手ごろな価格と充実したソフトウェアにより、Jetson Orin NanoはAI開発の学習や試作にも向いています。個人開発者や学生が本格的なエッジAIに触れる入り口として選ばれています。
NVIDIAはJetson AI Labなどを通じて、すぐ試せるサンプルやコミュニティ事例を数多く公開しています。試作で得た成果を、そのまま上位モデルでの本番開発へつなげやすい点も利点です。
Jetson Orin Nanoと上位モデルの選び方
jetsonorinnanoは、シリーズの入り口となるモデルです。用途が広がると上位のモジュールが必要になる場面もあります。主要モデルの性能を次の表にまとめます。
| モデル | AI性能の目安 | メモリ | 消費電力の目安 |
|---|---|---|---|
| Jetson Orin Nano | 最大67 TOPS | 4GBまたは8GB | 7Wから25W |
| Jetson Orin NX | 最大157 TOPS | 8GBまたは16GB | 10Wから40W |
| Jetson AGX Orin | 最大275 TOPS | 32GBまたは64GB | 15Wから60W |
| Jetson AGX Thor | 2070 FP4 TFLOPS | 128GB | 40Wから130W |
Jetson Orin NXとの違い
Jetson Orin NXは、Orin Nanoと同じピン配置を保ちながら性能を高めた中位モデルです。最大157TOPSのAI性能を、10Wから40Wの消費電力で発揮します。
複数のカメラ映像を同時に処理する用途や、中規模のAIモデルを動かす場面に適しています。Orin Nanoで試作し、性能が足りなければOrin NXへ乗り換えるという展開がしやすい設計です。
Jetson AGX Orinとの違い
Jetson AGX Orinは、Orin世代の最上位に位置する高性能モジュールです。最大275TOPSのAI性能と最大64GBのメモリを備え、複雑なロボット制御や高度な画像認識をこなせます。
1台で複数のAIモデルを並行して動かす構成にも対応します。13Bパラメータ程度までのモデルや、処理負荷の高い産業用途を想定する場合の選択肢です。
最上位のAGX Thorとの位置づけ
Jetson AGX Thorは、NVIDIA Blackwellアーキテクチャを採用した現行の最上位モデルです。2070FP4テラフロップスという高いAI性能と128GBの大容量メモリを実現しました。
30B以上の大規模言語モデルやVLA、ヒューマノイド向けの高負荷な処理に向いています。Orin Nanoが担う入門から、Thorが担う最先端まで、同じソフトウェア基盤で段階的に性能を引き上げられます。
用途と予算に応じた選び方
モデル選びは、動かしたいAIモデルの規模と予算から考えると迷いません。学習や小型機器への組み込みならOrin Nano、省スペースで高い性能が要るならOrin NXが目安になります。
30B規模の大きなモデルを扱うならAGX Orin、70B以上や複数モデルの同時実行にはAGX Thorが適しています。まずはOrin Nanoで開発を始め、必要に応じて上位へ移行する進め方が現実的です。
Jetson Orin NanoとRaspberry Piの違い
小型のコンピューターというとRaspberry Piを思い浮かべる方も多いはずです。jetsonorinnanoとRaspberry Piは見た目が似ていても、AIを動かす目的で見ると設計思想が大きく異なります。ここでは両者の違いを整理します。
AI性能とGPUの有無
最大の違いは、AI演算を担うGPUを持っているかどうかです。Jetson Orin Nanoは1024コアのAmpere GPUを統合し、AI推論に特化した高い処理性能を発揮します。
一方でRaspberry Pi 5には専用のAIアクセラレータがなく、CPUによる推論が中心になります。両者の主な違いを次の表にまとめます。
| 比較項目 | Raspberry Pi 5 | Jetson Orin Nano |
|---|---|---|
| AI性能 | CPU中心で控えめ | GPU統合で高い |
| 参考価格 | 8GBで約80ドル | 開発者キットで249ドル |
| 主な用途 | 汎用計算や試作 | AI推論とロボティクス |
対応するソフトウェアの違い
Jetson Orin Nanoは、AI開発に必要なソフトウェアがそろっている点でも際立ちます。JetPackにはTensorRTやCUDA、DeepStreamなど、GPUを生かす道具が一式含まれます。
ROS 2との統合も深く、ロボット開発をそのまま進められます。Raspberry Piは汎用の用途に強い一方、AI推論を本格的に動かす専用ツールの面ではJetsonに及びません。
用途に応じた使い分け
両者は優劣ではなく、目的で選ぶ関係にあります。汎用的な電子工作や軽い試作、幅広い周辺機器を安価に使いたい場合はRaspberry Piが向いています。
リアルタイムの画像認識やロボット制御、ローカルでの生成AIなど本格的なエッジAIを動かすならJetson Orin Nanoが適しています。AIを機器に載せたいかどうかが、選び分けの基準です。
Jetson Orin Nanoの始め方
jetsonorinnanoは、開発者キットを使えば手軽に開発を始められます。必要なものをそろえ、ソフトウェアを書き込めば、数時間ほどでAIを動かす環境が整います。ここでは基本的な流れを紹介します。
開発者キットに必要なもの
Jetson Orin Nano開発者キットを動かすには、いくつかの周辺機器が必要です。本体のほかに用意するものを次に挙げます。
- 64GB以上のmicroSDカード、または256GB以上のNVMe SSD
- モニターとキーボード、マウス
- 対応する電源アダプター
- インターネット接続用のネットワーク環境
これらは市販の一般的な機器でそろえられます。ストレージは処理内容に応じて容量を選ぶと安心です。
初期セットアップの流れ
セットアップは、公式のソフトウェアイメージを書き込むところから始まります。JetPackのイメージをダウンロードし、Etcherなどのツールでストレージへ書き込みます。
書き込んだメディアを本体に挿し、電源を入れるとUbuntu Linuxが起動します。画面の案内に沿ってユーザー名やパスワードを設定すれば、開発環境の準備が完了です。
開発を支えるソフトウェアスタック
Jetson Orin Nanoの開発は、NVIDIAが用意するソフトウェアスタックに支えられています。中心となるJetPackに加え、用途に応じたツール群を組み合わせて使います。
ロボット開発ではIsaac ROSやIsaacプラットフォーム、映像解析ではDeepStreamが役立ちます。生成AIを試すためのサンプルはJetson AI Labで公開されており、初めてでも実際に動かしながら学べます。
まとめ:Jetson Orin Nanoは手軽に始められるエッジAI開発基盤
ここまで、jetsonorinnanoとは何かという基本から、Super開発者キットの性能とスペック、ローカルLLMやロボットへの活用、上位モデルやRaspberry Piとの違い、開発の始め方までを紹介してきました。手ごろな価格で本格的なエッジAIを動かせる点が、このモデルの魅力です。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- Jetson Orin Nanoは機器に組み込んでAIを動かす小型のエッジAI基盤
- Super開発者キットは最大67TOPSの性能を249ドルで実現
- ローカルLLMやロボット開発まで幅広く活用でき上位モデルへ拡張できる
Jetson Orin Nanoの性能やできること、他モデルとの違いを具体的に理解でき、自社の開発に合うかどうかを判断する材料が得られたはずです。
jetsonorinnanoの導入や活用を検討している方は、目的に合った構成を見極めながら開発を進めていきましょう。ご相談や詳しい情報が必要な場合は、以下からお気軽にお問い合わせください。
Jetson Orin Nanoに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。
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