ROS Noeticとは?使い方とEOL後の移行を解説【2026年版】
この記事のポイント
ros noeticはROS1系列の最終版で、Ubuntu 20.04とPython 3に対応します。2020年5月に公開され、2025年5月31日にEOLを迎えました。延長サポートで2030年まで利用でき、新規開発ではROS 2への移行が推奨されます。
「ros noeticがどんなバージョンで、どうインストールして使うのかを知りたいけれど、すでにサポートが終わったと聞いて、今から学んで無駄にならないかも不安」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
本記事の内容
- ROS Noeticの概要と対応環境
- インストール手順と基本的な使い方
- EOLの現状とROS 2への移行の考え方
ros noeticはROS1系列の最終バージョンで、豊富な資産を活用できる一方、2025年5月にサポートを終えています。
本記事を読めば、ros noeticの導入から使い方、そしてサポート終了後の現実的な選び方まで理解でき、学習や移行の判断材料が得られます。まずはROS Noeticの全体像から順番に見ていきましょう。
ROS Noeticとは
ROS Noeticは、ロボット開発向けのソフトウェア基盤ROS(Robot Operating System)のうち、ROS1系列で最後にリリースされたバージョンです。正式名称はROS Noetic Ninjemysで、2020年5月23日に公開されました。ロボット制御に必要なセンサー処理や動作、通信をまとめて扱える仕組みとして、研究や産業の現場で広く使われてきました。
ROS Noeticの位置づけ
ROS Noeticは、ROS1として13番目にあたる最終ディストリビューションです。これ以降、開発の主軸は後継のROS2へ移っています。
ROSにはLTS(長期サポート)版という区分があり、Noeticもその一つでした。5年間のサポート期間が設定され、2020年5月から2025年5月までが公式の対象でした。ROS1の集大成という性格を持つため、過去に蓄積された膨大なパッケージ資産をそのまま活用できる点が強みです。
対応するUbuntuとPython
ROS Noeticが主な対象とするのは、Ubuntu 20.04 LTS(コードネームFocal Fossa)です。この組み合わせが標準構成として想定されており、多くの解説やパッケージもこの環境を前提にしています。
言語面での大きな変更は、Python 3への対応です。ROS1でPython 3を公式にサポートするのはNoeticだけで、それ以前のMelodicまではPython 2.7が使われていました。下記に主要な対応関係を整理します。
| 項目 | ROS Noetic |
|---|---|
| ROS系列 | ROS1(最終版) |
| 対応Ubuntu | 20.04 LTS(Focal) |
| Pythonバージョン | Python 3.8 |
| リリース | 2020年5月 |
ROS Noeticの主な特徴
ROS Noeticの特徴は、ROS1で培われた安定した設計と、Python 3という新しい実行環境を両立させた点にあります。既存のROS1向けチュートリアルやライブラリを使いながら、現行のPythonで開発を進められます。
主な特徴を挙げると次のとおりです。
- ROS1最終版として、豊富なパッケージ資産と情報が蓄積されている
- Python 3を公式サポートし、ROS 2への移行準備にも適している
- Ubuntu 20.04との組み合わせで安定した動作実績がある
これらの特徴から、ROS Noeticはロボット開発の学習や既存資産の活用に向いたバージョンとして位置づけられます。
ROS Noeticのインストール手順
ROS Noeticのインストールは、Ubuntu 20.04上でパッケージリポジトリを登録し、本体を導入して環境設定を反映する流れで進みます。手順自体は定型化されており、コマンドを順番に実行すれば構築できます。ここでは公式Wikiに沿った基本的な流れを紹介します。
インストール前に準備するもの
ROS Noeticを導入する前に、対応環境をそろえておく必要があります。標準構成はUbuntu 20.04 LTSで、この環境を前提に進めるのが安全です。
準備しておきたい項目は次のとおりです。
- Ubuntu 20.04 LTSがインストールされたPCまたは仮想マシン
- インターネット接続とsudo権限を持つユーザー
- ターミナル操作の基本的な知識
仮想マシンで試す場合は、VirtualBoxなどにUbuntu 20.04を入れてから進める方法もよく使われます。まずは対応環境を整えることが、つまずきを防ぐ第一歩です。
①:パッケージリポジトリを登録する
最初に、ROSのパッケージを取得できるようにリポジトリを登録します。ROS用の配布元をsources.listに追加し、認証用のキーを取り込む作業です。
具体的には、ROSの配布リポジトリをsources.listdへ追記し、公式の鍵をシステムに登録します。この登録によって、以降のインストールでROS Noeticのパッケージが正しく取得できるようになります。登録後は、apt updateでパッケージ一覧を最新化しておきます。
②:ROS Noeticをインストールする
リポジトリの登録が終わったら、本体をインストールします。標準的な選択肢はデスクトップ版のフルパッケージで、コマンドはsudo apt install ros-noetic-desktop-fullです。
このパッケージには、ROSの中核機能に加えて、可視化ツールのRVizやシミュレーターのGazeboなどが含まれます。用途を絞りたい場合は、より軽量なros-noetic-desktopやros-noetic-ros-baseを選ぶ方法もあります。下記に主な構成の違いをまとめます。
| パッケージ | 含まれる主な内容 |
|---|---|
| ros-noetic-desktop-full | 中核機能、RViz、Gazebo、各種ライブラリ |
| ros-noetic-desktop | 中核機能、RVizなど(Gazeboなし) |
| ros-noetic-ros-base | 中核機能のみ(GUIツールなし) |
初めて学ぶ場合は、ツールが一通りそろうdesktop-fullが扱いやすい選択です。
③:環境設定を反映する
インストール後は、ROSのコマンドを使えるようにする環境設定が必要です。ROSの設定ファイルをシェルへ読み込むことで、rosコマンドが有効になります。
毎回のターミナル起動で自動的に読み込むには、setup.bashの読み込みをbashrcへ追記しておくと便利です。あわせて、rosdepの初期化とアップデートを実行し、依存関係を解決できる状態にします。これらの設定を終えれば、NVIDIA Jetsonのような組み込み機器上でもROS Noeticを使った開発を始められます。
ROS Noeticでできること
ROS Noeticを使うと、ロボットを構成する複数のプログラムを連携させ、実機やシミュレーション上で動かせます。通信の仕組み、開発を支えるビルドシステム、動作を確認する可視化ツールがそろっている点が特徴です。ここでは代表的な機能を三つに分けて紹介します。
ノードとトピックによる通信
ROSの基本は、ノードと呼ばれる小さなプログラム同士がメッセージをやり取りする仕組みです。センサー読み取りやモーター制御といった機能を個別のノードに分け、それらを組み合わせてロボット全体を動かします。
代表的な通信方式がトピック通信です。データを送る側のパブリッシャーがトピックへメッセージを流し、受け取る側のサブスクライバーがそのトピックを購読して受信します。もう一つのサービス通信は、リクエストとレスポンスをやり取りする双方向の方式です。両者の違いを下記にまとめます。
| 方式 | 通信の形 | 主な用途 |
|---|---|---|
| トピック通信 | 一方向、1対多 | センサー値などの連続的な配信 |
| サービス通信 | 双方向、1対1 | 単発の要求と応答の処理 |
用途に応じて通信方式を使い分けられる点が、ROSの柔軟さを支えています。
catkinによるパッケージ管理
ROS Noeticでは、catkinというビルドシステムで開発を進めます。catkinは、ソースコードを実行可能な形へ変換し、機能ごとにまとめたパッケージを管理する仕組みです。
開発の際は、まずワークスペースと呼ばれる作業用のディレクトリを用意し、その中のsrcフォルダにパッケージを作成します。パッケージは目的別のプログラムの集まりで、雛型はcatkin_create_pkgコマンドで生成できます。この単位で機能を整理することで、大規模なロボット開発でもコードを見通しよく保てます。
シミュレーションと可視化のツール
ROS Noeticには、ロボットの動作を確認するためのツールが標準で付属します。desktop-fullでインストールすると、可視化ツールのRVizと物理シミュレーターのGazeboが使えます。
RVizは、センサーデータやロボットの姿勢を3次元で表示し、内部状態を目で確認できるツールです。Gazeboは、重力や衝突を再現した仮想空間でロボットを動かせるため、実機がなくても動作を検証できます。主なツールの役割を整理します。
- RViz:センサー値やロボットモデルの可視化
- Gazebo:物理法則を反映したシミュレーション
- URDF:ロボットの形状や関節を記述する形式
これらを組み合わせることで、開発初期の検証から実機投入前の確認まで幅広く対応でき、NVIDIA Isaacのような最新のシミュレーション基盤へ移行する際の土台にもなります。
ROS NoeticのEOLとROS 2への移行
ROS Noeticはすでにサポート終了を迎えており、今後の扱いを判断する必要があります。選択肢は、延長サポートで使い続ける方法と、後継のROS 2へ移行する方法の二つです。ここではEOLの事実と、現実的な進め方を整理します。
ROS NoeticのEOL時期
ROS Noeticは、2025年5月31日にEOL(サポート終了)を迎えました。この日付は、Ubuntu 20.04が標準サポートを終える日と同じで、ROSの管理組織が正式に決定したものです。
EOLを過ぎると、公式からのセキュリティ修正やバグ対応が原則として提供されなくなります。学習や試作の範囲であれば大きな問題になりにくい一方、製品として運用する場合はセキュリティ上のリスクが高まる点に注意が必要です。
延長サポートという選択肢
すぐに移行できない場合の選択肢として、延長サポートがあります。CanonicalのUbuntu Proに含まれるESM(拡張セキュリティメンテナンス)を利用すると、EOL後もROS Noetic環境を維持できます。
このサービスでは、EOLから5年間、2030年まで対象が延長されます。バックポートされたCVE修正やバグ対応が提供されるため、移行期間中も一定の安全性を保てます。Ubuntu Proは個人利用の範囲では無償で使え、法人向けには商用ライセンスが用意されています。既存資産を急に切り替えられない現場にとって、移行までの時間を確保する手段になります。
ROS 2へ移行する判断基準
長期的な開発では、後継のROS 2への移行が基本方針になります。ROS 2は通信基盤にDDSを採用し、マスターなしでの通信やリアルタイム制御、Windows対応など、商用利用を意識した改良が加えられています。ROS1との主な違いを下記にまとめます。
| 項目 | ROS1(Noetic) | ROS 2 |
|---|---|---|
| 通信基盤 | 独自プロトコル、マスター必須 | DDS、マスター不要 |
| リアルタイム性 | 対応が難しい | QoS設定などで対応 |
| 対応OS | 主にLinux | Linux、Windowsなど |
| サポート | 終了(延長は2030年まで) | 継続中 |
製品を市場へ出す用途ではROS 2が標準の選択です。既存のROS1資産が多く移行に時間がかかる場合は、延長サポートで運用しつつ、段階的にROS 2へ移す進め方が現実的といえます。
まとめ:ROS NoeticはROS1最終版として移行を見据えて使う技術です
ros noeticは、ROS1系列の最終バージョンとして、Ubuntu 20.04とPython 3の環境で動くロボット開発の基盤です。本記事では、概要と対応環境、インストール手順、ノードやトピックを使った基本的な使い方、そしてEOL後の扱いまでを解説しました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- ROS NoeticはROS1最終版でUbuntu 20.04とPython 3に対応
- インストールはリポジトリ登録、本体導入、環境設定の流れで進む
- 2025年5月にEOLを迎え、延長サポートかROS 2移行が選択肢
これらを押さえておけば、ros noeticを学ぶべきか、既存環境をどう扱うかを、EOLと移行コストの両面から判断できます。学習用途なら豊富な資産を活かせますし、製品運用なら延長サポートと移行計画を組み合わせる進め方が安心です。
ロボット開発の技術選定や体制づくりでお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。より詳しい情報は資料請求からもご確認いただけます。
ros noeticに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。
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