ドローンの農業活用とは?メリット・デメリット・価格を解説

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この記事のポイント

農業用ドローンは農薬散布・肥料散布・センシングなど7種類に分かれ、散布作業を人力の4分の1から8分の1に短縮できる。初期費用は80万〜300万円、代行は1ヘクタール2万〜3万円が目安。国家資格は不要だが機体の技能認定と農薬散布時の許可申請が必要。

ドローンの農業活用とは?メリット・デメリット・価格を解説

「人手不足で農薬散布や生育管理に時間がかかりすぎるが、農業用ドローンを導入すれば本当に負担が減るのだろうか」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 農業用ドローンの種類と一般用との違い
  • 導入するメリットとデメリット
  • 価格相場・補助金・必要な資格

農業でドローンを導入すれば、農薬散布や生育管理にかかる作業時間を大幅に短縮でき、少人数でも広い圃場を管理できるようになります。

種類や費用、資格の要否まで順に押さえれば、自分の経営規模に合った導入判断ができるようになるので、続きを読み進めてください。

農業用ドローンとは?種類と仕組みを解説

農業用ドローンとは、農薬や肥料を空中から散布したり、圃場の生育状況を撮影したりするために作られた無人航空機のことです。用途に合わせてタンクやノズル、カメラなどの専用装置を搭載している点が特徴になります。

まずは定義と種類、一般用ドローンとの違いを順に押さえておきましょう。

農業用ドローンの定義

農業用ドローンは、農薬散布用のタンクとノズルを機体に組み込んだマルチローター型の無人航空機として作られています。一般社団法人農林水産航空協会などが定めた基準を満たした機体が、農業現場での利用を前提に販売される仕組みです。

搭載する装置によって役割が変わるため、同じ農業用ドローンでも散布専用の機体と、撮影専用の機体では構造が大きく異なります。これは農業の自動化を進めるうえで非常に強力な道具であり、導入前には、自分がどの作業を任せたいのかを明確にしておくことが大切です。

農業用ドローンの主な種類

農業用ドローンの種類は、農薬散布、肥料散布、播種、受粉、農産物運搬、ほ場センシング、鳥獣被害対策の7つに分けられます。このうち、もっとも普及しているのが農薬散布用ドローンです。

大きく分けると、薬剤や種子をまく散布系ドローンと、カメラで生育状況を確認するセンシング系ドローンの2種類に整理できます。これらは空中を飛ぶ無人農業ロボットの一種であり、それぞれの用途は次のとおりです。

種類主な用途
農薬散布用病害虫防除、除草剤散布
肥料散布用追肥、生育促進
播種用種もみや種子のまき付け
センシング用生育状況・病害虫の把握
農産物運搬用収穫物や資材の運搬
鳥獣被害対策用威嚇音や光による追い払い

一般用ドローンとの違い

農業用ドローンと一般用ドローンの一番の違いは、農薬や肥料を積むタンクとノズルの有無です。一般的なドローンにはこうした散布装置が搭載されておらず、空撮や趣味用途を前提に設計されています。

サイズにも大きな差があります。一般用ドローンは片手で持ち運べる程度の大きさですが、農業用ドローンはアームを広げた状態で1メートルを超え、大型の30リットルタンク機になると2メートル以上、重さ25キロを超える機体もあります。これらは空から圃場を管理する大型の農業ロボットとして位置づけられます。

飛行性能の考え方も異なる部分です。農業用ドローンでは俊敏な動きよりも、薬剤を積んだ状態での安定した飛行と、障害物を避ける安全性が重視されます。

農業でドローンを導入するメリット

農業でドローンを導入する最大のメリットは、作業時間の短縮と労働負担の軽減です。ここでは、代表的な4つのメリットを具体的な数値とともに紹介します。

作業時間を大幅に短縮できる

農薬散布にかかる時間は、動力噴霧器を使った人力散布と比べて大幅に短くなります。1ヘクタールあたり約2時間かかっていた散布作業が、ドローンなら15分から30分程度で終わる事例が報告されており、作業時間はおよそ4分の1から8分の1に縮まる計算です。

肥料散布でも同様の効果が出ています。従来10アールあたり30分から60分かかっていた作業が、ドローン導入によって10分ほどで完了するようになりました。

作業負担と危険を減らせる

農薬散布は、薬剤に触れるリスクや炎天下での重労働をともなう作業です。ドローンなら操縦者は安全な場所から機体を操作できるため、薬剤に直接触れる機会を減らせます。

タンクを背負って歩く必要もなくなるため、体力面の負担が大きく軽減される点も見逃せません。高齢化が進む農業現場において、こうした安全性の向上は導入の大きな後押しになっています。

生育状況を正確に把握できる

センシング用ドローンを使えば、生育ムラや葉色、倒伏の状態を空中写真から把握できます。圃場を歩いて確認するよりも短時間で、圃場全体を俯瞰して観察できる点が強みです。

マルチスペクトルカメラを搭載した機体であれば、複数の波長で撮影した画像から植生指数を算出し、生育の良し悪しを数値で判断できます。撮影高度を100メートル以上に設定すれば、約100ヘクタールの広さを2時間程度で撮影できるため、大規模な圃場でも効率的な生育診断が可能です。

少人数でも作業を回せる

農業用ドローンは軽量かつ操作がシンプルな機体が多く、基本的に1人で持ち運びから散布作業まで完結できます。複数人で分担していた従来の作業を、少人数体制に置き換えられる点は、人手不足に悩む農業経営体にとって大きな価値です。

農薬散布と生育センシングを組み合わせれば、必要な場所にだけピンポイントで薬剤や肥料を投入する精密農業も実現しやすくなり、資材コストの削減にもつながります。

農業でドローンを導入するデメリットと注意点

農業でドローンを導入する際には、費用面や運用面でいくつかの注意点があります。導入後に後悔しないために、代表的な4つの課題を確認しておきましょう。

初期費用が高額になりやすい

農業用ドローンの初期費用は、機体の性能によって80万円から300万円程度が目安です。メンテナンス費用や部品の交換費用も継続的にかかるため、導入をためらう農家も少なくありません。

一般的には、経営面積が7ヘクタールを超えるあたりから、購入したほうが散布代行を依頼するよりコストを抑えやすくなるといわれています。7ヘクタール以下の規模であれば、代行サービスの利用も含めて比較検討することが大切です。

操縦者の育成に時間がかかる

農業用ドローンはまだ普及の途上にあり、現場で操縦方法や運用のコツを教えられる人材が不足しています。機体によっては技能認定の取得が購入条件になっているため、講習の受講から実際の運用開始までに一定の期間が必要です。

家族経営の農家では、操縦を担う人を1人に固定してしまうと、その人が不在のときに作業が止まってしまうリスクもあります。複数人が操縦できる体制を早めに整えておくと安心です。

天候や気象条件に左右される

ドローンは強風や雨、霧といった悪天候の影響を受けやすい機体です。風が強い日は薬剤が周辺に飛散しやすくなるため、安全な散布ができる気象条件を見極める必要があります。

センシング作業でも、雨や霧の影響で画像の精度が下がることがあります。飛行計画を立てる際は、天候不良による作業延期の可能性も織り込んでおきましょう。

使用できる農薬が限られる

ドローンで散布できる農薬は、無人航空機や無人ヘリコプターによる散布・滴下が認められているものに限られます。すべての農薬がドローン散布に対応しているわけではないため、使いたい薬剤が対象になっているか事前の確認が欠かせません。

農林水産省は、ドローンで使用できる農薬の適用拡大に向けた取り組みを進めています。今後、対象となる農薬の種類は徐々に広がっていく見通しです。

農業用ドローンの価格相場と補助金

農業でドローンを導入する際は、機体を購入する方法と代行サービスを利用する方法の2つの選択肢があります。それぞれの価格相場と、活用できる補助金制度を見ていきましょう。

用途別の価格相場

農業用ドローンの機体価格は、性能やタンク容量によって幅があります。農薬散布用の機体は80万円から300万円程度が目安で、タンク容量が大きくなるほど価格も上がる傾向です。

センシング専用の機体であれば、散布用より比較的安価な価格帯で導入できるケースもあります。購入前には、自分が任せたい作業に必要な機能を整理し、過剰なスペックの機体を選ばないようにすることが重要です。

購入と代行サービスの比較

自分で機体を購入せず、代行サービスに散布を依頼する方法もあります。代行サービスの料金相場は、10アールあたり1,800円から3,000円、1ヘクタールあたりでは2万円から3万円程度です。

まとまった面積を一度に依頼すると、10アールあたりの単価が1,300円台まで下がることもあります。経営面積が7ヘクタールを超えるあたりから機体購入のほうが割安になりやすいため、自分の経営規模に応じて選び方を検討しましょう。

方法目安費用向いている経営規模
機体購入80万〜300万円(初期費用)おおむね7ヘクタール以上
代行サービス10aあたり1,800〜3,000円7ヘクタール以下

活用できる補助金制度

農業用ドローンの導入費用は、国や自治体の補助金を活用すれば軽減できます。代表的な制度が、みどりの食料システム戦略推進交付金で、農薬散布ドローンやセンサー搭載型ドローンが対象になり、補助率は最大2分の1です。このような農業用ドローン向けの補助金制度を賢く利用することで、導入のハードルを下げられます。

農林水産省が実施するスマート農業実証プロジェクトも、農業用ドローンを含むスマート農業機器の導入費用の一部を補助する制度です。散布代行などのサービス事業を始める組織向けには、強い農業づくり総合支援交付金も用意されています。

これらに加えて、都道府県や市町村が独自の補助制度を設けている場合もあります。多くの補助金は交付決定前の購入を対象外としているため、申請から交付決定までのスケジュールを確認したうえで手続きを進めることが大切です。

農業用ドローンに必要な資格と免許

農業用ドローンの操縦に、国家資格としての免許は現時点で必須ではありません。ただし、機体の購入や農薬散布を行うためには、別の形での認定や許可が必要になります。

機体購入時に必要な技能認定

一般社団法人農林水産航空協会が認定した機体を購入する場合、定められた教習施設で講習を受け、産業用マルチローター技能認定証を取得する必要があります。DJIやクボタが製造する農業用ドローンを使う場合は、UTC農業ドローン協議会が認定した教習施設で講習を受け、農業ドローン技能認定証明書を取得する仕組みです。

いずれの認定も、使用する機種ごとに取得する必要があります。機種を変更する際には、あらためて講習を受ける必要がある点も覚えておきましょう。

農薬散布に必要な許可申請

農薬を空中散布する場合は、技能認定に加えて、航空法にもとづく国土交通省への許可・承認申請が必要です。安全なドローンによる農薬散布を行うための飛行経験やドローンに関する知識、操縦技術などの条件を満たしたうえで申請します。

2025年12月以降、民間資格を保有していることで飛行許可申請を簡略化できる仕組みが廃止されることになりました。今後は、より標準化された手続きへの移行が進む見通しです。

資格取得にかかる費用と期間

農林水産航空協会認定機の技能認定講習は、初学者でおよそ5日間、受講料は25万円前後が目安です。他機種のライセンスをすでに持っている場合は1日から3日程度、受講料も5万円から20万円程度に抑えられます。

DJIやクボタ製の農業用ドローンの講習は、期間がおよそ5日間、受講費は22万円から24万円程度が相場です。講習修了後、1ヶ月半ほどで技能認定証が発行されるため、繁忙期に間に合うよう早めに申し込んでおくと安心です。

まとめ:農業でのドローン活用は人手不足解消と収益改善への近道

ここまで、農業用ドローンの種類や仕組みから、導入するメリット・デメリット、価格相場と補助金、必要な資格までを解説しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 農業用ドローンは農薬散布・肥料散布・センシングなど7つの種類がある
  • 作業時間の短縮と負担軽減が導入の最大のメリットになる
  • 経営規模に応じて機体購入と代行サービスを使い分けることが重要

本記事を読んだことで、自分の経営規模で農業用ドローンを導入すべきかどうか、費用や資格の面から具体的に判断できるようになったはずです。人手不足や作業負担への不安も、種類や補助金制度を知ることで解消しやすくなります。

農業用ドローンの導入や活用について具体的に相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

農業用ドローンに関するよくある質問

参考文献

  1. 農業用ドローンの普及拡大に向けた官民協議会 - 農林水産省
  2. 航空:無人航空機操縦者技能証明等 - 国土交通省
  3. 「農業用ドローンの普及計画」における使用可能な農薬の適用拡大に関する取組 - 農林水産省

執筆者

Robot With 編集部
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Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。

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