ドローンの立入管理措置とは?必要なケースと対応方法を解説
この記事のポイント
ドローンの立入管理措置とは、飛行経路下への第三者の立入りを補助者配置・看板や柵の設置・周知などで管理する安全対策。カテゴリーⅡ飛行では原則必須だが、カテゴリーⅢ飛行やレベル3.5・4飛行では要件が異なり、機体認証や技能証明で代替される。
「ドローンの立入管理措置とは何を指すのか、自分の飛行計画で必要になるのかが分からない」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 立入管理措置の定義と第三者の範囲
- 必要になるケースとカテゴリー分類
- 具体的な実施方法とレベル3.5・4との関係
ドローンの立入管理措置とは、飛行経路下に第三者が立ち入らないよう管理する安全対策のことです。定義からカテゴリー分類、具体的な実施方法、レベル3.5・レベル4飛行との関係までを順に押さえれば、飛行許可申請や現場運用での判断に迷わなくなります。
制度が複雑に見えても、区分ごとの違いを整理すれば理解は難しくありません。ここから、立入管理措置の基礎を一つずつ確認していきましょう。
ドローンの立入管理措置とは?意味と目的をわかりやすく解説
ドローンの立入管理措置とは、飛行経路の下に第三者が立ち入らないよう管理する安全対策のことです。航空法上の位置づけと目的、対象となる「第三者」の範囲を押さえておくと、飛行許可申請や現場運用での判断がぶれなくなります。
立入管理措置の定義
立入管理措置は、航空法第132条の85第1項で「無人航空機の飛行経路下において操縦者及びこれを補助する者以外の立入りを管理する措置であって国土交通省令で定めるもの」と定義されています。航空法施行規則第236条の70では、その具体的な内容として「補助者の配置、立入りを制限する区画の設定その他の適切な措置」が挙げられています。
そもそもドローンとは何かという根本的な安全基準において、立入管理措置は、単に人がいない状態をつくることではありません。飛行中ずっと、第三者が立ち入れない、あるいは立ち入ってもすぐに気づける状態を維持し続けることが求められます。
立入管理措置の目的
立入管理措置の目的は、ドローンの落下や不具合が発生した際に、第三者に危害が及ぶリスクを最小限に抑えることです。飛行経路の直下や周辺に人がいなければ、万が一の事故でも被害を回避できます。
この考え方は、国土交通省が公表する「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」にも反映されています。飛行の安全性は機体の性能だけでなく、飛行環境の管理や万が一に備えるドローン保険への加入によっても支えられるという発想です。
「第三者」の定義
立入管理措置の対象となる「第三者」とは、ドローンの飛行に直接的または間接的に関与していない者を指します。操縦者や補助者は「直接関与者」として第三者には含まれず、機体を導入する際にドローン補助金を申請した事業所の関係者も指示系統下にあれば同様です。
直接関与者には、実際の操縦者に加え、操縦する可能性のある者や、安全確保に必要な補助者が該当します。一方、間接関与者は操縦者と飛行目的について共通の認識を持ち、計画外の挙動があった場合の指示や注意を受けている者です。関与するかどうかを自ら判断できる立場にある点も条件になります。
| 区分 | 該当する人 | 第三者に含まれるか |
|---|---|---|
| 直接関与者 | 操縦者、補助者、操縦する可能性のある者 | 含まれない |
| 間接関与者 | 飛行目的を共有し指示を受ける関係者 | 含まれない |
| 第三者 | 上記以外の一般の人 | 立入管理措置の対象 |
立入管理区画との違い
立入管理措置と混同されやすい言葉に「立入管理区画」があります。立入管理区画は第三者の立入りを制限する範囲そのものを指し、立入管理措置はその区画を成立させるための補助者配置や看板設置などの手段全体を指す言葉です。
区画だけを設定しても、実際に人が立ち入れない状態を維持できていなければ、過去のドローンの事故事例のように接触による重大な被害を防ぐことはできず、立入管理措置を講じたことにはなりません。範囲と手段の両方をセットで理解しておくことが、飛行許可申請でも現場運用でも欠かせない視点です。
立入管理措置が必要になるケース
立入管理措置は、すべてのドローン飛行で必要になるわけではありません。機体制御を行うドローンの仕組みの安全性や飛行場所の特性などを踏まえ、航空法が定める「特定飛行」に該当し、かつリスク区分が一定の条件を満たす場合に義務づけられます。
特定飛行とカテゴリー分類の関係
特定飛行とは、飛行させるドローンの種類や重量に関わらず、150m以上の上空、空港周辺、人口集中地区(DID地区)上空といった空域、または夜間飛行、目視外飛行、人や物件から30m未満での飛行などの方法に該当する飛行です。特定飛行に該当しなければ、立入管理措置を検討する必要はありません。
特定飛行に該当する場合、無人航空機の飛行はリスクの高さに応じてカテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲの3つに分類されます。カテゴリーが上がるほど、第三者への影響が大きい飛行形態になるという整理です。
| カテゴリー | 飛行の内容 | 立入管理措置の要否 |
|---|---|---|
| カテゴリーⅠ | 特定飛行に該当しない飛行 | 不要 |
| カテゴリーⅡ | 立入管理措置を講じたうえで行う特定飛行 | 必要 |
| カテゴリーⅢ | 第三者上空で立入管理措置を講じずに行う特定飛行 | 講じない |
カテゴリーⅡ飛行で求められる立入管理措置
カテゴリーⅡ飛行は、業務用ドローンの運用を含む特定飛行のうち、立入管理措置を講じることでリスクを下げる飛行形態です。原則として国土交通大臣の飛行許可・承認申請が必要になり、申請書には具体的な立入管理措置の内容を記載しなければなりません。
機体認証と操縦者技能証明(二等無人航空機操縦士)を取得している場合は、飛行マニュアルの作成など一定の安全確保措置を講じることで、許可・承認手続の一部を省略できるケースもあります。
カテゴリーⅢ飛行との違い
カテゴリーⅢ飛行は、レベル4飛行を含む、第三者の上空を立入管理措置を講じずに飛行する形態です。カテゴリーⅡとは異なり、立入管理措置によって第三者との接触を避けるのではなく、機体そのものの安全性と操縦者の技能で安全を担保する考え方をとります。
そのためカテゴリーⅢ飛行には、一等無人航空機操縦士の技能証明と第一種機体認証の両方に加え、飛行形態に応じたリスク評価に基づく飛行マニュアルの作成が求められます。カテゴリーⅡより求められる要件が厳格になる点を押さえておきましょう。
立入管理措置の具体的な方法
立入管理措置には、標準マニュアルで示された方法がいくつかあります。飛行環境や周辺の人の往来に応じて、適切な組み合わせを選ぶことが大切です。
補助者を配置する方法
もっとも基本的な方法は、補助者を配置することです。補助者には、飛行経路の直下やその周辺を常に監視し、第三者が近づいた場合に注意喚起や操縦者への連絡を行う役割があります。
補助者の人数は、飛行範囲の広さや周辺の人の往来に応じて、安全を確保できる体制になるよう調整します。1人では監視しきれない範囲であれば、複数名を配置して死角をなくすことが求められます。
看板や柵で区画を明示する方法
塀やフェンスといった物理的な設置物や、立入禁止を示す看板・コーンによって立入管理区画を明示する方法もあります。第三者の立入りを確実に制限できると判断できる場合は、この方法を補助者配置の代わりに用いることが可能です。
区画の範囲は、機体メーカーが算出・保証した距離、または機体の性能や運用条件から落下範囲が最大となる条件で算出した距離を基準に設定します。狭すぎる区画設定は、第三者の立入りを防げず措置として不十分になるため注意が必要です。
ネットやポスターで周知する方法
飛行範囲が広く、物理的な柵の設置が難しい場合には、ネットやポスターなどで飛行に関する情報を周知する方法もあります。近隣住民や施設利用者にあらかじめ飛行の日時・場所を知らせておくことで、立入りそのものを未然に防ぐ効果が期待できます。
これらの方法は単独でも組み合わせても構いません。飛行環境に合わせて、実効性のある措置を選ぶことがポイントです。
| 方法 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 補助者の配置 | 人による直接監視で柔軟に対応できる | 人の往来が多い場所 |
| 看板・柵の設置 | 物理的に区画を明示できる | 区画が明確に区切れる場所 |
| ネット・ポスターの周知 | 事前告知で立入りを未然に防ぐ | 飛行範囲が広い場所 |
DIPS2.0で立入管理措置を設定する方法
ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)で飛行許可・承認申請を行う際は、飛行概要の入力画面で立入管理措置の有無を選択します。措置を講じる場合は「はい」を選び、該当する措置内容にチェックを入れる流れです。
簡易カテゴリー判定で選択した内容が、あらかじめチェック済みの状態で表示されることもあります。内容に誤りがなければそのまま進められますが、実際の飛行計画と食い違いがないか、申請前に必ず確認しましょう。
レベル3.5・レベル4飛行と立入管理措置の関係
レベル3.5飛行とレベル4飛行は、いずれも立入管理措置のあり方が従来と異なる飛行形態です。ただし両者は仕組みが異なるため、混同しないよう整理しておく必要があります。
レベル3.5飛行における立入管理措置の代替要件
レベル3.5飛行は、機上カメラによるデジタル技術の活用、無人航空機操縦者技能証明の保有、第三者賠償責任保険への加入という3つの条件を満たすことで、補助者の配置や看板の設置といった従来の立入管理措置を撤廃できる飛行形態です。
技能証明は一等・二等のどちらでも認められますが、目視内飛行の限定解除を受けていることが条件になります。飛行場所も、山や海水域、河川・湖沼、森林、農用地など、第三者が存在する可能性が低い地域に限られる点に注意しましょう。
レベル4飛行で立入管理措置が不要になる理由
レベル4飛行は、有人地帯における補助者なし目視外飛行を指し、カテゴリーⅢ飛行に区分されます。カテゴリーⅢ飛行は第三者の上空を飛行する形態であるため、そもそも立入管理措置によって第三者との接触を避けるという発想自体が成り立ちません。
その代わりに、一等無人航空機操縦士の技能証明と第一種機体認証という、より厳格な資格・認証要件を課すことで安全性を担保しています。立入管理措置が「不要」というより、「立入管理措置ではなく機体と操縦者の信頼性で安全を確保する」制度設計になっていると理解しておくと誤解を避けられます。
省略要件を満たすための条件
レベル3.5飛行で立入管理措置を代替する場合も、レベル4飛行で運航管理を行う場合も、共通して求められるのは飛行マニュアルの整備です。操縦者だけでなく、補助者や運航管理者、安全飛行管理者を含めた体制でリスク評価を行い、その結果を反映したマニュアルを作成する必要があります。
一等無人航空機操縦士の技能証明書は有効期限が3年です。更新講習の修了と身体適性基準の確認を怠ると、資格自体が失効し、レベル4飛行の要件を満たせなくなる点も覚えておきましょう。
まとめ:ドローンの立入管理措置とは第三者の立入りを制限する飛行安全対策のこと
ここまで、ドローンの立入管理措置とは何かという定義から、必要になるケース、具体的な実施方法、レベル3.5・レベル4飛行との関係までを解説しました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 立入管理措置とは第三者の飛行経路下への立入りを管理する安全対策のこと
- カテゴリーⅡ飛行では原則必須、カテゴリーⅢ飛行では講じない仕組みになっている
- レベル3.5・レベル4飛行では立入管理措置の代替・要件強化という形で扱いが変わる
本記事を読んだことで、立入管理措置の意味やカテゴリー分類との関係、レベル3.5・レベル4飛行での扱いの違いを整理でき、飛行許可申請や現場運用での判断に迷わなくなったはずです。制度上の混同を避け、自社の飛行計画に合った対応を選べる状態になりました。
ドローンの飛行許可申請や立入管理措置の具体的な進め方について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
ドローンの立入管理措置に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
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