ドローンの活用事例とは?業界別12選と導入のメリットを解説
この記事のポイント
ドローンの活用事例は、インフラ点検、建設測量、農業の農薬散布、離島や山間部への配送、災害対応、施設警備、映像制作など幅広い業界に広がっており、作業時間の短縮やコスト削減、労働災害リスクの低減に直結している。
「ドローンの活用事例を調べているが、自社の業界にどう当てはめればいいのかイメージがわかない」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- ドローンの活用事例が増えている背景
- インフラ・建設・農業・物流分野の具体的な事例
- 災害対応・警備・映像分野での活用の広がり
ドローンの活用事例は、インフラ点検から農業、物流、災害対応まで幅広い業界に広がっており、導入コストや法規制への不安を解消しながら自社に近い事例を探せます。
本記事を読み進めれば、ドローンの活用事例を業界別に具体的な数字とともに理解でき、自社での導入イメージを描きやすくなります。
ドローンの活用事例が増えている背景
ドローンの活用事例が急速に増えている背景には、市場規模の拡大、法規制の緩和、人手不足という3つの要因があります。ここでは、活用事例を理解するための前提として、この3つの背景を順に解説します。
国内ドローン市場の拡大
国内のドローンビジネス市場規模は年々拡大を続けています。2025年度の市場規模は4973億円と推計され、前年度の4371億円から13.8%増加しました。
2026年度にはさらに拡大し、5501億円に達する見込みです。分野別に見ると、点検や測量などのサービス市場が最も大きく、2025年度時点で2711億円まで成長しています。
なかでもインフラ点検や土木・建築分野は伸び幅が大きく、点検分野だけで983億円規模に達しました。2030年度には約1.6倍の1614億円まで拡大すると予測されており、点検業務でのドローン活用事例は今後さらに増えていく見通しです。
レベル4飛行解禁で広がる活用の幅
2022年12月の航空法改正により、有人地帯における目視外飛行、いわゆるレベル4飛行が解禁されました。これは、住宅やビルが立ち並ぶエリアの上空でも、操縦者が目視で監視しない状態でドローンを自律飛行させられる制度です。
レベル4飛行の解禁を受け、ANAホールディングスやKDDIスマートドローンがドローン配送サービスの実証事業を実施しています。株式会社NEXT DELIVERYや日本郵便もレベル3.5飛行での配送を事業化するなど、物流分野での活用事例が具体的な形で広がってきました。
2026年度以降は、より人口密度の高い地域でのレベル4飛行実現に向けた検討も進んでいます。
人手不足解消への期待
多くの業界が抱える人手不足も、ドローンの活用事例が増えている大きな理由です。農業では、農薬散布ドローンを使うことで1ヘクタールあたり約10分の散布が1人で完了し、複数人での作業が前提だった従来の方法と比べて負担を大幅に減らせます。
建設業界でも、高所や危険なエリアの点検をドローンによる撮影と画像解析に置き換える動きが進み、高齢化や人手不足に直面する現場の安全性と効率性を同時に高めています。
物流分野では、楽天が北アルプスで実施した実証実験で、徒歩なら約7時間かかる山小屋への配送を、ドローンで約15分に短縮した事例もあります。こうした事例の積み重ねが、次に紹介する分野別の活用事例につながっています。
インフラ・建設分野で見るドローンの活用事例
インフラ・建設分野は、ドローンの活用事例がもっとも多く積み上がっている領域です。高所や危険な場所での作業を安全かつ短時間に置き換えられる点が評価され、点検、測量、進捗管理という3つの用途で導入が進んでいます。
橋梁やトンネルの点検事例
橋梁点検では、点検車で3日かかっていた現地調査が、ドローンによる撮影で実質1日相当に短縮された事例があります。1回15分程度のフライトを3〜4回行うだけで橋梁全体を撮影でき、通行規制をかけずに済むケースも増えています。
国土交通省の検証でも、従来3時間かかっていた橋梁点検車による点検が、ドローンでは1時間で完了したという結果が出ています。あるトラス橋の定期点検では、機械経費が2400万円から700万円に削減されました。
交通規制費用も含めた総額では、3800万円から1900万円まで圧縮された事例も確認されています。点検車が入れない場所にある橋やトンネルでも、事前の概観確認が可能になり、計画立案の精度が上がった点も大きな成果です。
建設現場における測量と出来形管理の事例
建設現場では、ドローンによる3次元測量が出来形管理や土量計算に活用されています。約5ヘクタール規模の造成工事では、毎月のドローン測量で前月データとの差分から切盛土量を自動算出しています。
この取り組みにより、月次測量の工期を3日から半日程度、約8割短縮した事例があります。土量計算の誤差は手計算と比べて3%以内に収まり、精度と速度を両立できています。
ダム建設現場でも、法面工事の出来形管理にドローン写真測量が導入されました。従来は作業員がロープで斜面に吊り下げられて行っていた測量を、空中撮影に置き換えたことで、安全性の向上と作業時間の短縮を同時に実現しています。
太陽光・風力発電設備点検の事例
再生可能エネルギー分野でも、設備点検にドローンの活用事例が広がっています。1MW規模の太陽光発電所であれば、赤外線サーモカメラと可視画像による点検を合わせて約20分で完了できます。
目視では見つけにくい発熱箇所や電気的な異常も、赤外線カメラを使えば検知できる点が強みです。風力発電設備では、ブレードに沿って自動撮影するオートフライト機能を備えたドローンにより、1基あたりの点検時間が約20分に短縮された事例があります。
これは、従来のロープワークによる点検と比べて約10分の1という短さです。撮影した画像はクラウド上でAIが自動解析し、損傷や異常箇所を抽出する仕組みも実用化されています。
農業・物流分野で見るドローンの活用事例
農業と物流は、人手不足や地理的な制約という課題を抱えてきた分野です。ドローンの活用事例は、この2つの分野で作業時間の短縮と、これまで届きにくかった場所への輸送手段の確保という形で成果を上げています。
農薬散布と生育管理の事例
農業分野でもっとも普及しているのが、農薬散布ドローンによる活用事例です。ある中規模の稲作農家では、年間約10ヘクタールの水田に農薬散布ドローンを導入しました。
手作業で5時間かかっていた散布を1.5時間に短縮し、農薬使用量も1割ほど減らせています。果樹栽培でも成果が出ています。
愛媛県宇和島市の農園では、約2ヘクタールのかんきつ園全体でドローン散布を導入し、人力なら3時間かかっていた約20アール区画の作業を10分に短縮しました。加えて、ドローンに搭載したカメラで圃場を撮影し、生育状況や病害虫の発生箇所を分析することで、必要な場所にだけ農薬や肥料を散布する取り組みも広がっています。
離島や山間部への配送事例
離島や山間部への医薬品配送は、ドローン物流における活用事例として社会的な注目度が高い分野です。長崎県五島市では、固定翼型ドローンを使い、久賀地区まで約10分、玉之浦地区まで約35分で医薬品を届ける実証研究が行われました。
のべ62名の患者が参加してもトラブルは発生しませんでした。愛知県美浜町では、河和港から約14キロ先の篠島まで、約20分で医薬品を運搬する実証も実施されています。
和歌山県日高川町では24.5キロという長距離かつ高高度の輸送実証を行い、医薬品の振動耐性や温度管理の実現可能性を検証しました。広島県江田島市では、実際の患者の処方箋にもとづいて調剤した薬剤をドローンで配達する実証も行われ、離島やへき地医療を支える手段として実用化が進んでいます。
都市部における宅配実証の事例
都市部でも、宅配ドローンの実証が積み重ねられています。KDDIは、アイサンテクノロジーやKDDIスマートドローン、KDDI総合研究所、ティアフォーと共同で、自動配送ロボットや自動運転車、ドローンを連携させる協調配送の実証に成功しました。
3種類のモビリティを組み合わせた取り組みは国内初の事例です。東京都が進めるプロジェクトでは、KDDIグループや日本航空、東日本旅客鉄道などが共同で医薬品配送をテーマにした実証に取り組んでいます。
楽天などの国内企業のほか、海外ではamazonのドローン配達のように住宅地上空での商用配送を見据えた取り組みが進んでおり、日本国内でも過疎地から都市部へと活用の場を広げつつある段階です。
災害対応・警備・映像分野で見るドローンの活用事例
災害対応、警備、映像制作は、いずれも人が直接足を運ぶことにリスクや限界がある分野です。ドローンの活用事例は、こうした現場に上空という新しい視点をもたらし、安全性とスピードの両面で成果を上げています。
災害時の被害状況把握と捜索救助の事例
災害現場では、救援物資の輸送、被害状況の調査、行方不明者の捜索、避難誘導など幅広い場面でドローンが役立てられています。2017年の九州北部豪雨では、ドローンで撮影した被災地の映像をもとに交通規制や避難場所の状況がウェブ上でリアルタイムに共有されました。
この映像は、自治体の災害対応や捜索活動に活用されています。2024年の能登半島地震では、石川県輪島市の要請を受けたドローン関連会社5社が捜索や被災状況の確認、物資輸送にあたりました。
倒壊した建物の内部には超狭小空間点検用のドローンが入り、安全確認と現地調査を行っています。発災直後から数時間という短時間で広範囲の被害状況を確認できる点、人が立ち入りにくいエリアも調査できる点が、災害対応におけるドローンの活用事例に共通する強みです。
施設警備と侵入検知の事例
警備分野では、AIを搭載したドローンによる自動巡回と侵入検知の事例が広がっています。ある警備会社のシステムでは、センサーや監視カメラが不審者を検知すると自動的にドローンが飛び立ち、対象を追尾しながら遠隔の警備員に情報を伝えます。
大規模スタジアムでは、上空から広範囲を監視するドローンと、位置情報を受け取って低空で追跡する巡回用ドローンを組み合わせた二重体制の事例もあります。物流倉庫では、サーモカメラを搭載したドローンによる夜間の自動巡回が導入されています。
異常な熱源や動きを検知すると、管理センターへ自動で通報が送られる仕組みが実用化されています。
報道や空撮、エンタメでの活用事例
報道分野では、地上からでは全体像をつかみにくい土砂崩れや陥没といった被害を、上空からの空撮で記録する事例が増えています。地上からの取材では見えづらい被害の広がりを、視聴者に正確に伝えられる点が評価されています。
エンターテインメント分野では、ドローンショーの事例が世界的に注目を集めています。東京オリンピックの開会式では1824台のドローンが夜空に模様を描きました。
山口県下関市で開催された花火大会では、約500機のドローンがイルカやクラゲのアニメーションを演出しています。LEDライトを搭載した多数のドローンを群制御する技術は、最先端の映像表現として定着しつつあります。
まとめ:ドローンの活用事例は業界の課題解決に直結する
ここまで、ドローンの活用事例が増えている背景から、インフラ・建設、農業・物流、災害対応・警備・映像といった分野別の具体的な事例までを解説しました。本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 市場拡大とレベル4飛行解禁がドローン活用事例の広がりを後押ししている
- 点検・測量・農薬散布・配送など各分野で作業時間とコストの削減事例が積み上がっている
- 災害対応・警備・映像分野でも安全性とスピードの両面で成果が出ている
本記事を読んだことで、自社の業界に近いドローンの活用事例を具体的な数字とともに把握でき、導入検討を一歩前に進める判断材料が得られたはずです。法規制や費用面の不安も、実例を知ることで解消しやすくなります。
ドローンの導入や活用について具体的に相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
ドローンの活用事例に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。
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