消防ドローンとは?活用事例と導入のメリット・課題を徹底解説

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この記事のポイント

消防ドローンは火災や捜索救助、土砂災害の現場で使われる無人航空機で、全国429消防本部(59.3%)が導入している。熱画像カメラやガス検知センサーで危険を事前に把握でき、操縦者育成と航空法対応が導入時の主な課題となる。

消防ドローンとは?活用事例と導入のメリット・課題を徹底解説

「消防ドローンを導入したいけれど、実際にどんな場面で役立つのか、資格や費用はどれくらい必要なのかがわからない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 消防ドローンの導入状況と役割
  • 消防ドローンの活用事例と搭載機能
  • 導入の進め方と資格・費用・補助金

消防ドローンは、火災や捜索救助、土砂災害などの現場で情報収集を担う無人航空機で、全国の消防本部で導入が進んでいます。

本記事を読めば、消防ドローンの役割から活用事例、導入時の課題、機種選定や資格取得の進め方まで一気通貫で理解できます。自分の消防本部や地域での導入判断に役立つ情報として、ぜひ最後まで読み進めてください。

消防ドローンとは?導入が進む背景と役割

消防ドローンとは、火災や災害現場での情報収集、捜索救助、被害状況の把握などに使われる無人航空機です。総務省消防庁は操縦アドバイザー養成や機体整備の支援を進めており、全国の消防本部で導入が急速に広がっています。人が近づけない危険な現場を上空から確認できるため、隊員の安全確保と初動判断のスピード向上に直結する手段として注目されています。

消防本部における導入状況

消防分野におけるドローン導入は、産業向けに開発された最新のドローンビジネスの知見や技術を活用する形で、全国の消防本部で年々進められています。この背景には、救助や調査の需要増加に伴う国内のドローンの市場規模拡大と機体性能の向上があり、平成29年度は70本部(9.6パーセント)だった保有数が、令和4年4月時点では429本部(59.3パーセント)まで拡大しました。政令指定都市など大規模な消防本部では8割を超える導入率になっています。

年度保有本部数保有率
平成29年度70本部9.6%
平成30年度116本部15.9%
令和元年度201本部27.7%
令和4年4月429本部59.3%

一方で、実際に運用している本部は176本部にとどまるという調査もあります。機体を保有していても、マニュアルの未整備や操縦者不足によって十分に活用できていない本部が一定数存在することがわかります。

消防ドローンが注目される理由

消防ドローンが注目される理由は、火災や土砂災害などの現場で人がすぐに近づけない場所の状況を、短時間で正確に把握できる点にあります。林野火災での延焼範囲の確認や、建物火災での崩落リスクがある場所の事前確認など、隊員の判断を支える情報を素早く提供します。

比較的小型で導入コストを抑えやすく、専門免許を持たない隊員でも講習を受ければ操縦できる点も普及を後押ししています。防災ヘリが配備されていない市町村でも、消防ドローンなら導入しやすいという事情も背景にあります。

防災ヘリなど他の手段との違い

消防ドローンと防災ヘリコプターは、どちらも上空から現場を確認する手段ですが、役割や運用のしやすさに違いがあります。

比較項目消防ドローン防災ヘリコプター
出動までの時間短時間で発進できる準備や飛行申請に時間がかかる
離着陸場所狭いスペースでも運用できる広いヘリポートが必要になる
導入・維持コスト比較的抑えられる高額になりやすい
飛行できる範囲低空・狭所を含め柔軟広域や長距離の移動に強い

なお、消防・救助・ドクターヘリなどが活動する空域は「緊急用務空域」に指定され、無関係なドローンの飛行が禁止されています。消防ドローンを運用する側としては、こうした空域のルールを理解したうえで、防災ヘリとは異なる役割を担う機材として位置づけることが大切です。

消防ドローンの活用事例と搭載機能

消防ドローンは、火災現場から捜索救助、土砂災害まで幅広い場面で活用されています。ここでは実際の消防本部の事例と、活用を支える搭載機能を具体的に確認していきます。

火災現場での活用事例

林野火災では、延焼している範囲を上空から確認することで、消火の方針を素早く決められます。釧路北部消防事務組合消防本部では、林野火災の情報収集にドローンを活用し、延焼場所の把握に役立てました。

建物火災では、ドローンの活用事例として、木更津市消防本部がDJI製の中型機を導入し、搭載した熱画像カメラで建物のどの部分の延焼が激しいかを判断しています。崩落の危険がある建物への進入判断も、映像を確認したうえで実施できるようになりました。

捜索・救助や土砂災害での活用事例

山岳地での要救助者の捜索にもドローンは活躍しています。奈良県広域消防組合消防本部では、山岳での救助者捜索を目的にドローンを活用した事例があります。

土砂災害では、浜松市消防局が静岡県熱海市の土石流災害において、広域災害対応のためにドローンを活用しました。水難事故に対しては、奈良県五條市の消防団が水中ドローンを導入し、水中での捜索活動を効率化しています。

搭載される主なカメラとセンサー

消防ドローンには、現場の状況を正確に把握するための複数のカメラやセンサーが搭載されます。

搭載機器主な用途
可視光カメラ(4K〜8K)現場の全体状況をリアルタイムで確認する
熱画像カメラ延焼箇所や要救助者の体温を検知する
ガス検知センサー有害ガスの発生や漏洩を事前に把握する
マルチスペクトルカメラ植生や被害範囲の変化を分析する
指向性スピーカー現場での避難誘導や呼びかけに使う

これらの機能を組み合わせることで、隊員が近づく前に危険を察知し、安全な活動計画を立てやすくなります。

消火活動用ドローンの最新開発事例

より直接的に消火活動へ関わるドローンの開発も進んでいます。東京消防庁と三菱重工業は、消火活動用ドローンの共同研究開発契約を締結しました。この開発では、狭い空間でも使いやすい放水型ドローンと、消火剤を狙った場所に投下する薬剤投てき型ドローンの2種類が検討されています。

放水型は地上からの給電で継続的な放水ができる設計、薬剤投てき型は消火剤を対象物へ正確に落とす設計になっており、はしご車が入れない密集した住宅地などでの活用が想定されています。今後の実証を経て、新しい消火戦術の確立が期待されています。

消防ドローン導入のメリットと課題

消防ドローンの導入には多くのメリットがある一方、運用面や法規制に関する課題も存在します。導入を検討する際は、両方を正しく理解しておくことが欠かせません。

導入で得られるメリット

消防ドローンの最大のメリットは、隊員が現場に近づく前に状況を把握できる点です。崩落の危険がある建物や有害ガスが発生している可能性がある現場でも、映像を確認したうえで安全な活動計画を立てられます。

搭載機能によって水難救助や山岳救助といった特殊な現場にも対応でき、活動の幅を広げられる点も大きな利点です。少人数の隊員で広い範囲を確認できるため、限られた人員でも情報収集の効率を高められます。

運用面の課題

多くの消防本部が抱える一番の課題は、操縦者の育成と人員不足です。機体を保有していても、マニュアルが未整備であったり、操縦できる隊員が不在であったりする理由で、実際に運用しているのは保有本部の一部にとどまるという調査もあります。

消防士はドローン操縦だけを専門にしているわけではないため、日々の勤務のなかで訓練の時間を確保する必要があります。耐候性や飛行時間といった機体性能、導入・運用コストも合わせて検討すべき課題です。

課題の種類具体的な内容
人員面操縦できる隊員が少ない、平日しか運用できない
運用面マニュアル未整備、訓練時間の確保が難しい
機体性能耐候性、飛行時間の制約
コスト面導入費用と維持費用の負担

航空法など関連する規制

消防ドローンを運用するうえでは、航空法に基づく規制を守る必要があります。重量100グラム以上の機体は国土交通省への登録が義務付けられており、登録記号を機体に表示するとともに、リモートID機能によって機体識別情報を発信することが求められます。

補助者を置かずに目視外飛行を行う場合は、高いリスク管理が必要になります。また、消防や救助、ドクターヘリなどが活動する空域は緊急用務空域に指定され、無関係なドローンの飛行が禁止されています。消防ドローンを飛行させる際も、こうした規制と一般的な飛行ルールの両方を踏まえて運用することが欠かせません。

消防ドローンの導入方法と選び方

消防ドローンを効果的に活用するには、機種選定から操縦者育成、費用計画まで順序立てて進めることが大切です。

機種選定のポイント

機種選定では、管轄地域の地理的特性や想定される災害の種類を基準にすることが重要です。佐野市消防本部は管轄面積の約6割が山岳地域であるため、指向性スピーカーや投下装置を取り付けられる中型機を採用し、避難の呼びかけや物資供与に対応できる体制を整えました。

木更津市消防本部は、小型機で災害情報収集を始めたあとに中型機を追加導入し、熱画像カメラを活用して建物火災の対応力を高めています。小型機は取り扱いやすく初めての導入に向いており、中型機は搭載機能が豊富で本格的な災害対応に向いているという違いがあります。

導入前には、他の消防組織や関連団体が主催するドローン関連イベントに参加し、複数の隊員で情報収集や意見交換を行うと、運用イメージを具体化しやすくなります。

操縦者の育成と資格取得

消防ドローンの操縦には、法律で定められた免許はありませんが、国家資格である無人航空機操縦士(一等・二等)を取得しておくと、飛行許可の手続きが一部免除されるなど運用がスムーズになります。

二等資格の取得費用は、登録講習機関を利用する場合、初学者で40万円前後、経験者で16万円前後が目安です。指定試験機関で直接受験して一度で合格すれば、37,400円程度で取得できます。資格の有効期間は3年間のため、更新も見込んで育成計画を立てる必要があります。

総務省消防庁も、操縦アドバイザーの養成研修を実施し、ドローンを保有していない消防本部へ講師を派遣する取り組みを進めています。こうした公的な育成支援も活用しながら、計画的に操縦者を増やしていくことが求められます。

導入費用と使える補助金

機体購入や資格取得には一定の費用がかかりますが、活用できる補助金や助成金があります。個人向けには教育訓練給付金があり、ドローン国家資格の受講費用の最大50パーセント、上限25万円が支給される制度があります。

法人向けには人材開発支援助成金があり、中小企業であれば研修コースの種類によって45パーセントから75パーセント程度の助成を受けられる場合があります。機体の購入については、ものづくり補助金など設備投資向けの補助金が活用できるケースもあります。また、産業用として同様に補助金が活用されやすい林業用ドローンなどの他産業の事例も、公的な支援制度を利用する際の参考になります。

このほか、令和4年度からは災害対応ドローンの整備費用が緊急防災・減災事業債の対象に加わり、防水性能や録画機能を備えた機体の購入費用を自治体が計画的に確保しやすくなっています。導入を検討する際は、こうした国や自治体の支援制度を早い段階で確認しておくことがポイントです。

まとめ:消防ドローンは災害対応力を高める切り札になる

本記事では、消防ドローンの導入状況や役割、火災・捜索救助・土砂災害での活用事例、搭載されるカメラやセンサー、導入のメリットと課題、機種選定や資格・費用・補助金について解説してきました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 消防ドローンは人が近づけない現場の状況を素早く把握できる手段である
  • 操縦者の育成や航空法の規制への対応が導入の課題になる
  • 管轄地域の特性に合わせた機種選定と補助金の活用が導入を後押しする

本記事を読んだことで、消防ドローンの全体像から導入の進め方までを把握でき、自分の消防本部や地域に合った検討がしやすくなったのではないでしょうか。

消防ドローンの導入や機種選定について具体的に相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

消防ドローンに関するよくある質問

参考文献

  1. 航空:無人航空機の登録制度 - 国土交通省
  2. 東京消防庁の公募型研究「消火活動用ドローンの共同研究開発」の契約を締結 | 三菱重工
  3. ドローンによる消防防災力の強化に向けた取り組みについて(通知) - 総務省消防庁

執筆者

Robot With 編集部
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Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。

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Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。

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