LiDARドローンとは?仕組みや写真測量との違いを詳しく解説
この記事のポイント
LiDARドローンはレーザーで地表を計測し、マルチリターン機能により植生に覆われた場所でも地形を高精度に取得できる。写真測量より高価だが土木や森林、防災の測量で活用され、自社導入は400万円前後から。
「LiDARドローンとは何か、写真測量と何が違い、どんな現場で使えるのか知りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- LiDARドローンの仕組みと写真測量との違い
- 植生を透過できるメリットと活用分野
- 機体選びや導入費用と必要な資格
LiDARドローンは、レーザーで地表を計測できる装置を搭載したドローンで、植生に覆われた場所でも地形を高精度にとらえられる測量手段です。
本記事を読めば、LiDARドローンの仕組みからメリット、活用分野、導入のポイントまでがわかります。導入や活用を検討する材料として、ぜひ最後まで読み進めてください。
LiDARドローンとは
LiDARドローンとは、建設ドローンの最先端技術として注目される、LiDARと呼ばれるレーザー計測装置を搭載したドローンのことです。上空からレーザーを地表に照射し、地形を立体的に計測できるため、測量分野で広く使われています。
まずはLiDARの仕組みと機体の構成、写真測量との違いを理解しておきましょう。
LiDARの仕組み
LiDARは、レーザーパルスを対象物へ照射し、跳ね返って戻るまでの時間を精密に測ることで距離を求める技術です。無数のレーザーを照射することで周囲の環境を立体的な点の集まりとして把握でき、このアプローチは屋内などで使われるSLAM測量技術などにも応用されています。
この点の集まりは3次元点群と呼ばれます。ドローンに搭載することで、上空から広い範囲の地形を短時間で3次元データ化できます。
LiDARドローンの構成
LiDARドローンは、機体本体とLiDARセンサーを中心に構成されます。位置情報を正確に記録するため、GNSS受信機や機体の姿勢を捉えるIMUといった機器も組み合わせて使います。
取得したデータを処理するには、専用の解析ソフトと性能の高いパソコンが必要です。これらの機器が連携することで、正確な座標を持った3次元点群を作り出せます。
写真測量との違い
一般的なドローン測量で使用される手法には、LiDARを使うレーザー方式と、カメラで撮影する写真測量があります。どちらの手法を選ぶかによって、最終的なドローン測量の精度や得意とする現場の環境が異なります。写真測量は画像を解析して地形を再現するのに対し、LiDARはレーザーで直接距離を測ります。
大きな違いは、植生のある場所での計測能力です。次の表のように、現場の状況に応じて使い分けることが大切です。
| 比較項目 | LiDAR | 写真測量 |
|---|---|---|
| 計測方法 | レーザーで距離を測る | 画像を解析する |
| 植生下の計測 | 地表を計測できる | 地面が写らず苦手 |
| 費用 | 高価になりやすい | 比較的抑えられる |
LiDARドローンで測量するメリット
LiDARドローンには、写真測量では得られない独自のメリットがあります。特に植生のある現場や悪条件での計測に強く、高密度なデータを取得できる点が評価されています。
代表的な3つのメリットを見ていきましょう。
植生を透過して地表を計測できる
最大のメリットは、草木に覆われた場所でも地表を計測できる点です。LiDARにはマルチリターンという機能があり、1本のレーザーが樹木の葉や枝、地表へ順に反射し、それぞれの戻り信号を個別に受け取れます。
この仕組みによって、樹木の高さと地表の標高を同時に取得できます。写真測量では地面が写らず計測が難しい森林でも、地形情報を失わずに把握できます。
夜間や悪条件でも計測できる
LiDARは自らレーザーを照射して計測するため、明るさに左右されにくい点も特長です。写真測量が日照に依存するのに対し、夜間や薄暮の時間帯でも計測を進められます。
太陽光の影響を受けにくいため、日中の限られた時間に縛られず作業を計画できます。天候や時間の制約が多い現場ほど、この強みが生きてきます。
高密度な3次元点群を取得できる
LiDARドローンは、ドローン3Dスキャンの実施時と同様に、地表を非常に細かい点の集まりとして記録できます。高密度な3次元点群が得られるため、微細な地形の変化や構造物の形状を正確にとらえられます。
得られたデータは、土量計算や設計との照合、林業での樹木の計測など幅広く活用できます。精密なデータを起点に、後工程の作業を効率化できる点も導入の理由になっています。
LiDARドローンの活用分野
LiDARドローンは、植生を透過して地形を計測できる特性から、さまざまな分野で活用されています。土木や森林、災害対応など、人が立ち入りにくい現場ほど効果を発揮します。
代表的な活用分野を紹介します。
土木やインフラでの活用
土木の現場では、起工測量や出来形管理にLiDARドローンが使われています。工事前後の地形を3次元で計測し、土量の計算や進捗の確認に役立てられます。
上空から面的に計測できるため、広い現場でも短時間でデータを取得できます。危険な斜面や高所の構造物、さらにはドローン点検の現場においても、人が近づかずに安全にデータを取得できる点が大きな利点です。
森林や林業での活用
森林分野では、スマート林業の中心的な技術として注目されています。LiDARで森を3次元化し、そのデータから立木の位置や樹高、幹の直径、材積を計測できます。
2026年現在、林野庁がスマート林業の実証を全国で進めており、LiDARとAIを組み合わせた単木単位の資源量推定が実用化されています。従来の毎木調査に比べ、広い範囲を効率よく調べられます。
災害対応や防災での活用
災害の現場でも、LiDARドローンは力を発揮します。土砂崩れや浸水などの被害状況を、発災直後から短時間で広く把握できます。
マルチリターン機能により、森林に覆われた斜面でも地表の変化をとらえられます。二次災害の危険がある場所でも安全に計測でき、初動対応や復旧計画の判断材料になります。
LiDARドローンの導入で押さえるポイント
LiDARドローンを導入する際は、機材の選定や費用、法規制を事前に確認しておく必要があります。高額な投資になるため、自社の用途に合った選択が欠かせません。
導入前に押さえておきたい3つのポイントを解説します。
機体とセンサーの選び方
機体とセンサーは、計測する現場や求める精度に合わせて選びます。業務用では、DJIのMatrice 350 RTKのような機体が広く使われており、本体価格は80万円から100万円前後です。
安全保障の観点から、国産機を選ぶ動きも進んでいます。国産機は150万円以上になることが多く、機体の性能とセンサーの計測範囲を見比べて選ぶことが大切です。
導入費用の目安
LiDARドローンは、機体だけでなくセンサーや解析環境をそろえる必要があります。自社導入では、エントリー向けの構成で400万円前後、本格的なシステムでは1000万円を超えることもあります。
導入頻度が低い場合は、外注する方法も現実的です。外注は1件50万円ほどからが目安で、機材の購入や維持の負担がかかりません。
| 導入方法 | 費用の目安 |
|---|---|
| 自社導入(エントリー) | 400万円前後 |
| 自社導入(本格システム) | 1000万円超 |
| 外注 | 1件50万円ほどから |
必要な資格と法規制
ドローンの飛行には、航空法などの法規制への対応が必要です。2022年6月以降、100グラム以上の機体が航空法の対象となり、機体登録や飛行のルールを守る必要があります。
補助者を置かない飛行など、方法によっては国家資格の無人航空機操縦士が求められます。2026年7月からは重要施設周辺の飛行禁止範囲が広がるため、最新の制度を確認したうえで運用することが欠かせません。
まとめ:LiDARドローンは植生下でも高精度に計測できる測量手段
本記事では、LiDARドローンの仕組みから写真測量との違い、メリット、活用分野、導入のポイントまでを解説してきました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- LiDARはレーザーで距離を測り高密度な3次元点群を取得できる
- マルチリターンにより植生下でも地表を計測できる点が最大の強み
- 土木や森林、防災で活用され、導入には費用や資格の確認が必要
LiDARドローンの特性と活用の全体像がわかったことで、自社の現場に導入する価値があるかを判断しやすくなったのではないでしょうか。
LiDARドローンの導入や機体選定、活用方法について具体的に相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
LiDARドローンに関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。
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