SLAM測量とは?GNSSが使えない場所でも測れる仕組みを解説
この記事のポイント
SLAM測量は自己位置推定と地図作成を同時に行う技術を使い、GNSSが届かない屋内やトンネルでも歩くだけで3次元計測できる。建設や森林、プラント点検で活用され、公共測量の5センチ精度を満たす事例もある。
「SLAM測量とは何か、どんな仕組みで、どの現場で使えるのか知りたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- SLAM測量の仕組みと従来測量との違い
- LiDAR SLAMなど技術の種類とメリット・課題
- 建設や屋内、森林での活用分野
SLAM測量は、自己位置を推定しながら周囲を3次元化する技術を使った測量で、衛星測位が届かない屋内やトンネルでも歩くだけで計測できる方法です。
本記事を読めば、SLAM測量の仕組みから種類、メリットと課題、活用分野までがわかります。導入や活用を検討する材料として、ぜひ最後まで読み進めてください。
SLAM測量とは
SLAM測量とは、建設ドローンが自律飛行する際などにも用いられるSLAM技術を使い、自分の位置を推定しながら周囲を3次元で計測する測量方法です。衛星測位が使えない場所でも計測できるため、屋内やトンネルなどで活用が広がっています。
まずはSLAMの仕組みと、従来の測量との違いを理解しておきましょう。
SLAMの仕組み
SLAMは、Simultaneous Localization and Mappingの略で、自己位置の推定と地図の作成を同時に行う技術です。センサーで周囲の形状をとらえながら、自分がどこにいるかを連続して割り出します。
LiDARを使う場合は、レーザーを照射して戻る時間から距離を測り、照射角度から座標を求めます。歩きながら計測することで、周囲を3次元の点群として記録できます。
従来の測量との違い
従来の測量は、トータルステーションなどで一点ずつ計測する方法が中心です。正確に測れる一方で、測る点が多いほど時間と手間がかかります。
SLAM測量は、ドローン測量と同様に、機器を移動させるだけで面的にデータを取得できます。計測のスピードが速く、複雑な形状の空間でも短時間で3次元化できる点が大きな違いです。
GNSSが使えない環境でも計測できる理由
一般的な測量では、GNSSと呼ばれる衛星測位で位置を把握します。しかし屋内やトンネル、橋梁の下、森林の内部などでは衛星の電波が届かず、正確な測位ができません。
SLAMは、衛星に頼らず周囲の形状から自己位置を推定します。そのため電波が届かない場所でも、歩きながら3次元の地図を作れます。
SLAM測量に使われる技術の種類
SLAM測量には、使うセンサーや機器によっていくつかの種類があります。目的や現場に合わせて選ぶことで、効率よく計測を進められます。
代表的な技術と機器の形を見ていきましょう。
LiDAR SLAM
LiDAR SLAMは、レーザー計測装置を使うSLAMで、LiDARドローンと同じくレーザーパルスを用いた位置測定を行い、測量分野で最も広く使われています。
暗い場所でも計測できる点が特長です。トンネルや地下空間など、光の少ない現場でも安定してデータを取れます。
Visual SLAM
Visual SLAMは、カメラの映像をもとに自己位置を推定するSLAMです。画像の特徴を追いかけながら、周囲の空間を把握します。
機器が比較的安価で、色の情報も取得できる点がメリットです。一方で、暗い場所や模様の少ない空間では精度が下がりやすい傾向があります。
| 種類 | 使うセンサー | 得意な環境 |
|---|---|---|
| LiDAR SLAM | レーザー | 暗所やトンネルなど |
| Visual SLAM | カメラ | 明るく特徴の多い空間 |
ハンディ型とバックパック型の機器
SLAM測量の機器には、手で持つハンディ型と、背負って使うバックパック型があります。どちらも歩きながら計測でき、現場での取り回しに優れています。
ハンディ型は狭い場所や細かい計測に向いています。バックパック型は両手が空くため、広い範囲を長時間かけて計測する現場で使われます。
SLAM測量のメリットと課題
SLAM測量には、従来の測量にはない多くのメリットがあります。一方で、精度やコストの面で注意すべき課題もあるため、両方を理解しておくことが大切です。
主なメリットと課題を整理します。
短時間で広範囲を計測できる
最大のメリットは、計測のスピードです。機器を持って歩くだけで面的にデータを取得できるため、上空からのドローン3Dスキャンと同様に、一点ずつ測る従来の方法に比べて作業時間を大きく短縮できます。
少ない人数で広い範囲を計測できるため、人手不足の現場でも効果を実感しやすくなります。危険な場所でも移動しながら安全に計測できる点も利点です。
屋内やトンネルでも計測できる
衛星測位に頼らないため、屋内やトンネルなど電波が届かない場所でも計測できます。橋梁の下や地下空間、森林の内部など、従来は計測が難しかった現場に対応できます。
取得したデータは、施工管理や劣化診断に役立つ3次元データとして活用できます。BIMと呼ばれる建物の情報モデルと連携できる点も評価されています。
精度やコストの課題
一方で、SLAM測量には課題もあります。周囲の形状から位置を推定するため、特徴の少ない広い空間では精度が下がりやすい傾向があります。
高い計算処理が必要で、機器やソフトの導入コストもかかります。ただし技術は進歩しており、公共測量で求められる5センチ以内の精度を満たした事例も報告されています。
SLAM測量の活用分野
SLAM測量は、衛星測位が使えない環境でも計測できる特性から、さまざまな分野で活用されています。人が近づきにくい場所や複雑な空間ほど、その強みが生きてきます。
代表的な活用分野を紹介します。
建設やインフラ点検での活用
建設や土木の現場では、起工測量や進捗の確認、出来形管理にSLAM測量が使われています。歩きながら現場全体を素早く3次元化でき、作業の省力化につながります。
トンネルや橋梁など、衛星電波が届かない構造物において、ドローン点検の技術と連携させて高精度な劣化状況調査を進めることも可能です。高精度なスキャンで得たデータは、施工管理や劣化診断に役立てられます。
屋内やプラントでの活用
屋内空間やプラントの計測のほか、ドローン建物調査を補完する屋内データの取得でも、SLAM測量は力を発揮します。配管や設備が入り組んだ空間でも、歩きながら立体的なデータを取得できます。
取得した3次元データは、設備の管理や改修の計画に活用されます。図面が残っていない古い施設の現状把握にも役立ちます。
森林や地下空間での活用
森林や地下空間など、GNSSが届かない自然環境でも計測できます。森林では樹木を自動で認識し、直径や樹高を計測できるため、資源量の把握に活用されています。
土砂崩れの危険度評価や、二酸化炭素の吸収量の評価にも使われています。人が立ち入りにくい地下空間の調査でも、安全にデータを取得できます。
まとめ:SLAM測量はGNSSが使えない場所でも歩くだけで3D計測できる
本記事では、SLAM測量の仕組みから技術の種類、メリットと課題、活用分野までを解説してきました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- SLAMは自己位置推定と地図作成を同時に行い衛星測位に頼らない
- 歩くだけで広範囲を3次元化でき屋内やトンネルでも計測できる
- 建設や屋内、森林で活用され精度やコストの課題も進歩している
SLAM測量の仕組みと活用の全体像がわかったことで、自社の現場に取り入れる価値があるかを判断しやすくなったのではないでしょうか。
SLAM測量の導入や機器選定、活用方法について具体的に相談したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
SLAM測量に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Robot With編集部は、ロボット・フィジカルAI領域の専門メディアです。物流・製造・サービスなど幅広い分野のロボット技術や導入事例、市場動向を調査・発信し、企業の導入検討や意思決定に役立つ信頼性の高い情報を提供しています。
監修者
リサーチチーム
Robot With リサーチチームは、ロボット・フィジカルAI領域の専門調査チームです。国内外のメーカー情報や市場動向、技術資料、公的データをもとにファクトチェックと内容監修を行い、企業の導入検討に役立つ正確で中立的な情報を提供しています。
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